きょんどう通信

公立小学校の教員 勇気づけの学級づくりに奮闘中

泣いた子の理由

朝から運動会キャラクターのパネルの色塗り。図書室と1年教室を行ったり来たり。「おはようございます・・・」と弱い声。ある男の子。帽子をかぶっている。声をかけるが帽子を脱ぎたがらない。
髪を切ったんだそうだ。廊下で「どれ、後ろ見せて?」というとちょっとだけ帽子を脱ぐ「お、さっぱりしたね。かっこいいね」と言ってみるが脱がない。それどころかうかない顔。
朝、運動会のパフォーマンス練習もあったので、時間を告げ、練習に行くように促すが全くだめ。言えば言うほどだめそうだったので髪の毛のことはもう言わず。放っておく。でもかまって欲しそう。子ども心は難しい。
そのうちに泣き出す。他の子はどんどん練習へ向かう。女の子が「Mくんいこうよ」と声をかけるが泣いたまま。髪の毛が気に入らないくらいで泣いてどうする!と思うが・・・
「もう時間だし先生も行くよ。」というと「だって涙が止まらないんだもん」と。「落ち着いたらおいで」と言って先に出る。

グラウンドへ出る体育館出口でもなんだかんだとごねて通りかかった教務主任がなだめすかし、出してくれた。私は見ながらほおっておいた。甘えているんだろうと思ったから。
チームが違うので離れた場所かた見たが、黄色帽子から赤白帽子に変えてきていた。途中から泣きやみ、練習にも参加したそうだ。

朝の会はめそめそしながら廊下でごね、支援員の先生にかまってもらっていた。私は朝の会についていた。歌の後「時間です。入りなさい」と言うと教室に入る。健康観察の返事はした。
1時間目も2時間目も朝の会を赤白帽子をかぶったまま参加。もちろん途中途中にジェスチャーや言葉で帽子を取るように言った。が、なかなかとらない。他の先生ならもっとばしっと言い、すぐに取らせるか、子どもが取るのかな。

聞くと保育園の時、髪を切ったあと「はげ」と言われたんだそうな。「また言われそうな気がしたの?」と聞くとうなずきまた泣く。う〜んよく泣くなぁ・・・
本当は「それくらいで泣くんじゃない」「言われても気にすることじゃないよ」とか言いたいところだが。帽子をかぶったまま授業を受けるのは失礼なこと、あとはMさんの心が決めることだよ、と話す。
3時間目は体育。
4時間目の図工の前「(ぼうしを)とろうかな、どうしようかな」と言いにくる。「Mさんが決めることだよ」と同じ言葉を繰り返した。その後すぐ取った。
ここでよし、とか言ったり合図したりすれば良かったのかな。でも、こだわって泣くことや泣けばかまってもらえることを覚えて欲しくなかったのであまり反応しないようにと思い、スルーした。

あ、このすぐに泣く、優しいけれど心配症のMさんお父さんは私が中学校の時、好きだった男の子です。